ベンダー任せからの脱却!地方・業界特有の課題に挑戦した、総合卸売市場システムの刷新
・業務プロセスの全面見直しに合わせ、老朽化した基幹システムの刷新が必要と判断
・オンプレサーバーの入替時期がせまっており、早急に対応が必要
・複数の業界・商流を取り扱うため、既存システムが複雑化し、ベンダーロックオンの状態となっている
・地方企業のDX化モデルケースとしての期待
複数の業界(水産、青果、畜産 など)、商流(仲卸、直販など)が混在することで既存システムが複雑化している点に対し、メンテナンスにおけるベンダーロックオンの排除、時流に合わせたスピーディーな改良を可能とするため、システムを「シンプル」に設計し、データの正規化、アドオンで機能追加ができるフレキシブルな基幹システムを目指した。
また、より適切なビジネスアプローチをとれるよう、BIツールの導入検討を進めた。
業務コンサルタントとタッグを組み、システム面でのコンサルティングから、プロジェクト推進のサポートを行った。
・システムコンサルティング(業務分析、データモデル・システムプランの設計)
・ベンダー選定補助
・ベンダーコントロール
・進捗、課題管理および対応策検討を含む、プロジェクト推進(PMO)
・BIツール導入検討・設計
・シンプルな構造のシステムを軸に、各業界・商流にあわせたアドオン機能の連携による、新基幹システムを構築
・商流の違いにより発生していた各種手作業を軽減
・BI導入で、戦略的な分析を可能にし、マネジメント層への報告作業も軽減
・クラウド化によるハードベンダーロックオン状態を解消し、コスト削減へ貢献
地方・業界特有の課題に挑戦し、人との繋がりの大切さを感じられたプロジェクト
地方では、首都圏などと比べシステム企業の選択肢が少なく、また当時はオンラインでのやりとりが全国的には浸透しておらず、悪く言えば「ベンダーのいいなり」になりやすい状況であった。適切な競争が行われないため、サービスや価格に不満がある姿が垣間見えた。プロジェクトメンバーは、そのような状況から脱却できるよう、現状の正しい把握、および新しいトレンドに合わせた未来像を提示することから始めた。
多種多様な業務と独特な構造で複雑化したシステム
卸売市場は扱う品によって、業界も商習慣もバラバラである。しかし、市場としては1企業体として全体をまとめて管理する必要がある。この相反する状況に対し、既存システムは現場の意見を都度反映しつづけしながら継ぎはぎで延命されてきていた。 結果、仕組みを理解しメンテナンスを行える人間はかなり限定的で、さらに既存スタッフの高齢化、積み重なるオンプレ環境の管理コスト、部門(業界)ごとに異なるデータの統計工数は、企業の成長に足かせとなりかねない状況であった。
シンプルで、将来を見据えることのできるシステムへ
クラウド、Webシステム化など汎用性のある環境に変え、データ構造を「シンプル」になるよう基本構造から見直した。データ構造を見直したことにより、異なる業種・商習慣であっても、全社的に統計をとれるようになり、BIによる分析を可能にした。
変化への抵抗
ユーザは既存システムに習熟し、独自の利用方法を各々で確立していた。 習熟者によるスピード感が重視され、新システムやBIの活用について当初ユーザは懐疑的であった。「ぱっと見で探しやすい」→「容易に検索できる」というデータ活用の視点の変更、将来的に新システムが生み出す価値など、足しげくユーザを訪問し、MOCや事例による説明を重ね、ユーザの理解を高めるよう努めた。
システム構築 = ユーザ(人)の理解
数多くのセッションを持つことで、ユーザと視点のすり合わせができ、徐々にユーザから未来志向の要望も出てくるようになった。 プロジェクトはシステム作りだが、使うのは人間である。 効率のみを追い求めがちなシステム構築において、使う人の状況・心境も理解せねば、いかに崇高な理想も絵にかいた餅になる。 当プロジェクトを通じて、人としての繋がりが如何に重要なものであるかを、改めて痛感した思いがした。